
缶バッジは、さまざまなビジネスシーンやイベント、コレクターアイテムとして幅広く活用されています。しかし、缶バッジを製作する際、「どのサイズを選べばいいのか」「どんな形状が効果的なのか」と悩む方は多いのではないでしょうか。本記事では、缶バッジのサイズや形状の種類を用途別に紹介します。最後には、缶バッジのビジネスでの活用ポイントについてくわしく解説します。
缶バッジの基礎知識
缶バッジとは
缶バッジとは、金属板(通常はスチールやアルミニウム)にデザインを印刷し、透明な樹脂(PET素材など)でコーティングした後、ピンやマグネット、クリップなどの金具を付けた小物です。「缶バッチ」と呼ばれることもあります。
丸形が一般的ですが、いろいろな形状があります。使い道はさまざまで、ノベルティや販促品、販売用グッズなど、幅広いシーンで活用されています。
缶バッジのプロモーションへの活用については、下記記事でくわしく解説しています。
>> 缶バッジが継続的な企業プロモーション活動に有効な理由 <<
サイズ選びの重要性
缶バッジのサイズ選定は、プロモーションやブランディングの効果を左右する重要な要素です。小さいサイズは携帯性に優れコスト効率が良いため大量配布に適してしています。一方、大きいサイズはデザインの視認性と存在感を高めることができます。
また、配布シーンや業界特性によっても、最適なサイズは変わります。適切なサイズを選定することで、効果的なデザイン表現が可能になり、目的にあった成果を最大化できるでしょう。
缶バッジのデザインについては、下記の記事でくわしく解説しています。
>> 缶バッジをデザインするコツとは? 販促効果を高めるデザインのポイントや注意点を解説 <<
缶バッジのサイズ比較
缶バッジ製作にあたっては、サイズや形状を把握しておく必要があります。ここでは、一般的に流通している缶バッジのサイズについて解説します。

22mm極小サイズで繊細なデザインに向いている
5円玉よりもやや大きいサイズで、缶バッジの中でも最も小さい部類に入ります。非常にコンパクトで、デザインスペースが限られているため、ロゴマークやシンボルといったシンプルなデザインに適しています。コスト効率にも優れているため、大量配布のノベルティとしても活用できます。
25mmシンプルなデザインに向いている
10円玉くらいのサイズの缶バッジで、服や鞄に複数個付けやすい小ぶりなサイズです。22㎜よりは大きいものの、印刷範囲は限られるので、お店や企業のロゴや作品タイトルなど、シンプルなデザインに適しています。大きいサイズの缶バッジと組み合わせて販売することも可能です。
32mmファッションアイテムとしても使いやすい
キャラクターグッズやイラストをデザインする場合におすすめのサイズです。鞄や服のワンポイントに使いやすいサイズです。
38mm使いやすくデザインの幅が広がる
32mmからほんの少し印刷範囲が広がり、印刷できるデザインの幅も広がります。例えば、企業や製品のイメージキャラクターと会社名を並べてデザインしたい場合は、38mm以上のサイズが適しています。
44mmきれいにディスプレイしやすい
使いやすさと存在感を両立させるならこのサイズがおすすめです。他のアイテムと組み合わせたり、趣味スペースなどに並べたりする場合でもディスプレイしやすいサイズです。
57mm最も一般的な大きさ
企業のノベルティやキャラクターグッズとして最も多く作られているサイズです。存在感があり、ノベルティとして配るだけではなく、店舗や展示会で従業員が付けることで、サービスや企業メッセージをアピールするアイテムとしても適しています。
76mmインパクト抜群
大きめのサイズで、バッグのアクセントとして付けることや、自宅の趣味スペースに飾ることを想定したものにおすすめです。印刷スペースが広いぶん、複数のキャラクターが集合したデザインにも対応できるので、キャラクターグッズに向いています。
100mm迫力満点のデカ缶バッジ
自宅の趣味スペースに飾って楽しむことを前提としたコレクション品としての利用がおすすめです。キャラクターの多い作品のグッズや、「◯周年」など記念グッズとしての展開に向いています。
【用途別】缶バッジのおすすめサイズ
製作にあたっては、サイズ選定に迷うこともあるでしょう。そこで、用途別に適したサイズについて見ていきましょう。
企業やイベントのノベルティとして選ぶなら
展示会やイベントのノベルティであれば、配布時の利便性や、配布した相手にとっての使いやすさを考慮して、適切なサイズを選びましょう。
57mmサイズは、ブースを通行する来場者の目に留まりやすい視認性の高さが強みです。従来のピン型だけでなく、マグネットタイプにしてオフィスのデスクで使ってもらうといった受け取った後の使用シーンも広がります。一般消費者向けイベントにも汎用性が高く、コストパフォーマンスに優れています。
特別感を演出したいケースでは、76mmや100mmの大型サイズを選択することで、のプレミアム感や話題性を創出できます。配布数が少ないイベントでは、こうした大型サイズの存在感が効果を発揮するでしょう。
ノベルティやイベント集客については、以下の記事でくわしく解説しています。
>> 企業の販売活動を促進する面白いノベルティの事例を紹介 <<
>> イベント集客のアイデア5選!成功させるための事前準備やコツを紹介 <<
音楽系グッズとして選ぶなら
缶バッジは気軽に楽しめる音楽系グッズとしても人気です。ライブや音楽フェスなどのイベントだけではなく、CDの初回限定盤予約特典のノベルティでも活用されています。
販促グッズの場合では、一般的な57mmサイズが製作しやすいでしょう。また、組み合わせるパーツ次第で、キーホルダーやボトルオープナーなど、バッジ以外のグッズ展開も可能です。
また、ライブハウスがドリンクチケットとして、缶バッジを活用しているケースもあります。ライブハウスのロゴをあしらったシンプルなデザインで、小ぶりなサイズが使われています。ライブグッズとして、サイズやデザイン違いのものがセット販売されることもあります。
缶バッジに組みあわせ可能なパーツについては、以下の記事でくわしく解説しています。
>> 缶バッジのパーツとは? 種類や選び方のポイントを解説 <<
「推し活」を楽しむアイテムとして選ぶなら
好きな作品やキャラクター、アーティストなどのファンとしての活動、いわゆる「推し活」の一環としても缶バッジを収集し、自宅の趣味スペースに飾って楽しむニーズが増えています。「推し活」ニーズが高まる中で、WEBショップや100円均一ショップなどでも、缶バッジをディスプレイするのに適したグッズが販売されています。
集めた缶バッジは鑑賞するだけではなく、「痛バ」にも使われます。「痛バ」に関連するグッズとして、透明カバー付きの鞄やポーチなどが販売されています。「痛バ」にはキーホルダーやぬいぐるみ、缶バッジなどさまざまなアイテムが使われています。「見た目の統一性」や「お気に入りのキャラクターへの愛をアピールしたい」などの理由から、同じデザインのものを複数購入し、付けるパターンが多く見られます。
「痛バ」に使われる缶バッジは、複数購入して並べることを想定した場合、一般的なサイズである32~57mmが最も扱いやすいサイズです。また、キャラクターの人数が多い作品のグッズや限定グッズとして、76〜100mmのデカ缶バッジが製作されることもあります。
推し活については、以下の記事でくわしく解説しています。
>> 推し活の市場規模は?最新動向から基礎知識、グッズビジネスに役立つ情報も <<
缶バッジ形状の種類
ここまでは、一般的な丸型の缶バッジを想定したサイズについて解説しましたが、缶バッジは丸型だけではなく、さまざまな形状があります。製作したいデザインや訴求の方向性に合わせたデザインを選びましょう。
最も一般的な形状の「丸型」
丸型は、最も汎用性が高く、デザインやターゲット層を問わず使うことができます。初めて缶バッジを導入する場合や、幅広いデザイン展開をしたい場合におすすめです。
個性を出しつつベーシックな「長方形」
長方形は使いやすさも重視しつつ、より個性を出したいという場合に向いています。また、長方形といっても角に丸みを持たせたものや、シャープな形状など細かい部分の違いで印象はがらりと変わります。
他社との差別化を図るなら「星型や動物型」
キャラクターグッズやノベルティで個性を持たせたいときには、星型や動物型などのユニークな形状の缶バッジが向いています。特殊な形状を選ぶとデザインによって使える場面は限られますが、他社や他製品との差別化が期待できます。
缶バッジのビジネス活用で押さえるべきポイント
コミュニケーションツールとしての戦略的な活用
缶バッジは、単なる宣伝物ではなく、顧客との対話を生み出すコミュニケーションツールとして戦略的に活用しましょう。例えば、展示会での独自デザイン配布や、参加型イベントでの達成記念品としての提供は、自然な会話の入り口を作ることに役立ち、企業と顧客をつなぐ「接点」となります。こうした接点を継続的に設けることで、熱心なファンの育成と持続的な関係構築につなげることが期待できます。
ファン化を促す取り組みについては、以下の記事でくわしく解説しています。
>> ファンマーケティングとは?基礎知識や実践のポイント、成功事例を解説 <<
コレクション性を生かした展開
缶バッジは、さまざまなデザインやサイズが展開できることからコレクション性が高く、比較的安価で手に入るため、キャラクターやアーティストのファンが手軽に集めて楽しめるアイテムとして需要が高まっています。シリーズ物やシーズン限定デザインの缶バッジ展開を行うことで、顧客が一度きりではなく繰り返し商品を購入したり、新作の情報を継続的にチェックしたりする動機付けになります。
最近では、ブラインドパッケージの商品を集めるためにファン同士で交換するケースや、好きなキャラクターのグッズを大量にバッグに付けて、作品やキャラクターに対する愛を表現した「痛バッグ(通称:痛バ)」に代表される自己表現の手段としての活用も広がっています。こうしたファンコミュニティの動向も理解することも必要です。
アニメや漫画のファン動向は、以下の記事でくわしく解説しています。
>> 【アニメ・漫画 】ファンエンゲージメントとは?向上させる方法やポイントも <<
目的に合わせた製作方法の選択
缶バッジ製作では「外注」と「内製」の選択肢があり、どちらを選ぶかによって実現できる活用方法や効果が大きく変わってきます。
内製化のメリットは、少量多品種の製作や頻繁なデザイン変更に柔軟に対応できる点にあります。缶バッジは基本的なパーツと缶バッジマシンがあれば生産可能なため、初期投資を比較的抑えることができます。手動マシンでも1時間あたり約200個、自動マシンなら600〜1,000個の生産能力があり、効率的な運用が可能です。また、デザインの取り込みから、製作まで一気通貫で対応できる全自動マシンは、小ロットかつ即時性の高いグッズ対応に向いています。
一方、外注は一定数量以上の発注が必要という制約はありますが、高品質な仕上がりや専門的な加工技術が必要な場合に適しています。
それぞれの製作方法の特徴を知ったうえで、目的や規模、プロモーション計画に応じて適切な方法を選びましょう。
内製化、多品種少量生産については、以下の記事でくわしく解説しています。
>> 内製化のメリット・デメリットとは?判断基準や効果的に進めるポイントも <<
>> 多品種少量生産とは?缶バッジ製作現場でも直面する課題や解決策を解説 <<
まずは「丸型57mm」を基準に検討
缶バッジのサイズ選びに迷ったときは、まず「丸型57mm」を基準に考えるとよいでしょう。このサイズは視認性とコストのバランスが取れており、ノベルティからキャラクターグッズまで幅広い用途に対応できます。会社のロゴやキャラクターをシンプルに見せたいなら38mm前後、大量配布を行うなら25〜32mm、特別感を出したいなら76〜100mmと、用途によって選択肢を広げていくことをおすすめします。サイズ違いのサンプルを実際に手に取って、使用シーンをイメージしながら決定するのも効果的です。
emoji_objects 目的や利用シーンに合わせてサイズや形を検討しよう
適切な缶バッジのサイズと形状選びは、プロモーションやブランディングの効果を左右する重要な要素です。ビジネスへの活用におけるポイントを押さえながら、使用目的や対象者を考慮し、適切なサイズと形状を選びましょう。どのサイズにすべきか迷った場合には、基本となる丸型57mmから始め、段階的に他のサイズや形状を展開することをおすすめします。
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