日本では少子高齢化の影響もあり、地方から都心部への人口流出は年々増加しています。2024年1月30日に総務省が発表した「住民基本台帳人口移動報告2023年(令和5年)結果」を見ると、東京圏への転入超過は12万6,515人で前年比2万6,996人の拡大です。

2006年には北海道の夕張市が財政破綻したように、このまま都心部への人口流出が続けば他の地方自治体でも財政破綻を起こしてしまうリスクもゼロではありません。そこで本記事では、観光を中心に地域活性化を実現させるポイントや成功例を解説します。

地域活性化の重要性

まず、地域活性化とはどういったものなのか、なぜ地域活性化が重要なのかについて解説します。

地域活性化とは

地域活性化とは、地域の経済や文化、産業などの活動を活発化させ、地域住民の活動意欲を向上させることで地域振興や地域づくりを実現させるものです。

東京一極集中の是正や地域社会の持続的維持・発展を目的として2014年に成立した「まち・ひと・しごと創生法」により、その取り組みは本格化しました。現在では廃止された法律ですが、その後「まち・ひと・しごと創生総合戦略」という計画に引き継がれ、2020年からは第2期の戦略がスタートしています。

地域活性化の重要性

日本にとって地域活性化が重要となる主な理由は次のとおりです。

  • 少子高齢化
    日本は世界に類を見ないスピードで少子高齢化が進んでいます。内閣府が毎年発表している「高齢社会白書」の令和5年(2023年)版によると、65歳以上人口が総人口に占める割合、いわゆる高齢化率は29.0%(3,624万人)です。

    つまり日本の人口の約3人に1人は65歳以上です。今後もこの傾向は止まることなく、国際社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(令和5年推計)」によれば、2043年には65歳以上が3,953万人まで増加、その後、減少に転じると予想されています。
  • 東京の人口一極集中
    少子高齢化自体は東京を含む日本全体の問題です。しかし、東京は地方からの人口流入、特に大学進学や就職などによる10代後半から20代の若者が増加しているため、地方に比べ高齢化率も低い状況にあります。

    これに対し、地方の高齢化は増加する一方です。2023年12月に国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」によると、2050年には秋田県の49.9%をはじめ25道県で65歳以上の人口割合が40%を超えるとしています(東京は29.6%)。

    これらの結果から、一刻も早く地方活性化を進めなければ、多くの地方は15~64歳の労働年齢人口の減少を抑えられません。場合によっては地域経済の縮小、過疎化などさまざま問題につながるリスクもあるため、地域活性化が欠かせないものとなっているのです。

地域活性化の成功例

実際に地域活性化に取り組み、成功につなげている地域の例を紹介します。

岐阜県高山市

岐阜県高山市は、江戸時代の雰囲気を感じられる歴史的な街並みや、祭りや温泉などの地域資源があるところです。同市では地域の特徴的な伝統文化や自然を体験できるツアーや、累積標高差約2,700mで日本一過酷なコースを走る飛騨高山ウルトラマラソンなどの観光誘致策を官民一体となり開催しました。その結果、平成8年に比べ平成25年の観光客数は約9.4倍にまで増加しています。

長崎県小値賀町

長崎県小値賀町は、五島列島の北部、小値賀島と周辺の島々を行政区画としている町で、高齢化や島の産業衰退などから若者の流出が進んでいました。そこで島外からの移住者を中心に「おぢかアイランドツーリズム協会」を設立しました。

自然体験活動ツアーや民泊事業を展開することで、平成19年から3年後には観光客数1,500人増加し、収益は約1.7倍(11,000万円)を達成しました。

青森県

青森県では、2009年の「作家太宰治生誕百年」と2010年の「東北新幹線新青森駅開業」を契機に、車で青森をめぐる観光客のための周遊ルート案内支援としてMyルートガイドを開発しました。

Myルートガイドは、観光サイトから複数の目的地を選択するだけで最適なドライブルートを作成してくれるサービスで、有名観光スポット以外にもその道中に点在する埋もれた観光資源を発見して独自の周遊ルートを楽しむことができます。

福岡県福岡市

福岡県福岡市では、地域活性化の取り組みとして自治体主体による誰でも無料で使える公衆無線LANサービスを、他の都道府県に先駆けて整備しました。官民協働で整備することで経費を抑えつつ、利便性の向上や情報発信力強化に資する独自機能を実装し、自治体主体のWi-Fi整備・運用モデルの確立に成功しました。

その結果、平成27年度の時点で入込観光客数は1,855万人となり、3年連続過去最高を記録しました。また、福岡市内での訪日外国人の消費額も約1億2,400万円の増加につながっています。

和歌山県白浜町

和歌山県白浜町では、平成16年に「白浜町ITビジネスオフィス」を稼働させたものの、うまく定着しませんでした。白浜町はその理由を、オフィス利用企業と地元とのコミュニケーションが足りなかったことにより、白浜町の良さ、白浜町で働く意味を感じてもらえていないことだと推測しました。そこで、地域活性化の取り組みとして、「白浜町におけるパブリッククラウドサービスを利活用した先進的テレワーク推進及び生活直結サービス構築・検証事業」を実施して、オフィス利用企業にも積極的に地元のイベントへ参加してもらうようにしたのです。

他にも家族で移住してきた場合には、仕事環境の整備以外にお子さんの小学校入学手続きなど町を上げてサポートする体制を敷いたことで企業が定着し、平成28年には200件以上の視察迎え入れを実現しました。

地域活性化に取り組むポイント

地域活性化に取り組み成果を得るにはいくつかのポイントを押さえる必要があります。主なポイントは次のとおりです。

ターゲットの明確化

観光をテーマにした地域活性化を進めるうえで主なターゲットは次の3つです。

  1. 近隣に住んでいて自分たちの地域を知っている人
  2. 首都圏や遠方で自分たちの地域を知らない人
  3. 海外の人

誰を誘致したいかにより施策や宣伝方法も変わるため、まずはターゲットを明確にしましょう。

地域住民や民間企業との連携

自治体のみで活性化を実現させるのは簡単ではないため、商店街や地元住民の協力は欠かせません。また、民間企業との連携による、お土産や特産品の開発、販売も重要です。他にも民間企業を都市部から誘致し観光リゾートを開発して、テレワーク、ワーケーションの場所にしてもらうなども高い効果が期待できます。

地域住民や民間企業との連携による観光振興についてはこちらの記事をご覧ください。

観光振興とは? 地域を盛り立てながら収益を拡大するための取り組み例を紹介

IT活用

ウェブサイトやSNSなどを活用して全国にアピールするのも効果的です。ウェブサイトを多言語対応にすれば海外からの観光客誘致にもつながります。

ITも含めた地域PRについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

地域PRの目的と具体的な方法や成功させるためのポイントを事例で解説

人気作品とのコラボレーション

地元を舞台とした人気アニメやマンガなどと積極的にコラボレーションして、商品開発を行いアピールするのもよいでしょう。近年では海外でも日本のアニメやマンガの人気が高いため、インバウンド効果も期待できます。

人気作品とのコラボレーションについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

聖地巡礼とは? ビジネスとして成功につなげるためのお役立ち情報を紹介

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観光を中心にした地域活性化の実現には観光グッズの作成がおすすめ

高齢化率の上昇や人口の東京一極集中などの要因が重なり、多くの地域では若者の人口減少が続いています。若者が減少すれば労働人口も減少するため、経済の縮小や過疎化などのリスクも高まるでしょう。

しかし、さまざまな歴史的建造物や自然など地域にしかない魅力もあります。観光を中心にした地域活性化で外から人を誘致できれば、経済の拡大から地域の維持・発展につながるチャンスは多いでしょう。

観光を中心とした地域活性化のポイントは、ITの活用、地域住民や民間企業との連携などの他、そこでしか買えない観光グッズの製作も欠かせません。そのなかでもおすすめなのが気軽に購入できて外国人にも人気の高い缶バッジです。実際、多くの観光協会や鉄道会社では缶バッジの取り扱いが増加していて、地域活性化にも貢献しています。

バッジマンネットでは、豊富な在庫を持ち素早い発送も可能な缶バッジキットを提供しています。地域活性化を実現する手段の一つとしてオリジナル商品の製作を検討されている際はぜひお気軽にご相談ください。