
消費者の購買意欲を高める「購入特典」は、適切に活用すれば企業のマーケティング戦略において強力な武器となります。一方で、どのような特典をどのように提供すれば効果を得られるのか、判断に悩むことも少なくありません。本記事では、購入特典の基本からメリット、おすすめのアイテム、選び方のポイントに加え、景表法の注意点まで幅広く解説します。
購入特典とは
購入特典とは、商品やサービスを購入した顧客に対して提供される追加的な価値のことです。顧客の購買意欲を刺激し、リピート購入を促進する目的で実施されることが一般的です。効果的な購入特典は、単なる「おまけ」ではなく、顧客体験を向上させ、ブランドと顧客の絆を深める重要な役割を担っています。
来場特典については、以下の記事でくわしく解説しています。
>> 来場特典とは? 基本知識からアイテム選びや関連情報を解説 <<
購入特典の主な種類
購入特典にはさまざまな種類がありますが、主に以下の4つに分類できます。
- 商品の値引き・割引
最もシンプルな特典として、次回購入時に使えるクーポンや、セット購入時の割引などがあります。即時的な経済的メリットを顧客に提供できる反面、ブランド価値を損なうリスクもあるため、頻度や割引率には注意が必要です。
- オリジナルグッズ・アイテムの提供
オリジナル缶バッジやステーショナリーなど、企業やブランドのロゴやデザインを施した商品を提供する方法です。日常的に使用される実用品であれば、継続的なブランド露出にもつながります。
- 限定サービスの提供
会員限定イベントへの招待や先行販売権など、特別な体験を提供する特典です。物理的な商品ではなく「特別感」という価値を提供することで、顧客の帰属意識を高め、ブランドへの愛着を深めることにつながるでしょう。
- ポイント付与
購入額に応じてポイントを付与し、一定ポイントが貯まると商品と交換できるシステムです。継続利用を促し、顧客の囲い込み効果があります。導入コストはかかりますが、購買データの収集・分析により効果的なマーケティング施策にも活用できます。
購入特典を付けるメリット
効果的な購入特典は、企業に多くのメリットをもたらします。
販売促進効果による売り上げの向上
購入特典は「今買わないと損をする」という顧客心理を刺激し、購入の決断を後押しします。期間限定や数量限定の特典は、購買の先送りを防ぎ、顧客の即断を促す効果があります。特に「○○円以上で特典付き」という条件設定は、顧客の追加購入を促し客単価向上にもつながります。
顧客満足度の向上
特典は、商品本体に加えて「おまけ」を得る満足感を顧客に与え、ブランドへの好感度を高める効果が期待できます。この満足感はロイヤルティ(顧客の愛着や信頼)構築の基盤となり、継続的な利用やリピート購入を促進します。また、独自性のある特典は、競合との差別化要素として機能し、価格以外の魅力を訴求する強力な武器となります。
ブランド認知度の拡大
「見せたくなる」「誰かに話したくなる」特性がある特典は、口コミやSNS投稿を通じた拡散効果を生み出します。日常的な使用による露出だけでなく、顧客自身が積極的に共有するため、広告効果が自然に生まれるでしょう。結果として、ブランドの認知拡大や新たな顧客層へのアプローチにもつながります。
購入特典におすすめのグッズ・アイテム7選
購入特典のなかでも、グッズ・アイテムの提供は、取り組みやすい方法のひとつです。以下に、特に購入特典として効果的なグッズ・アイテムを紹介します。
1. オリジナル缶バッジ
缶バッジは、小さなサイズながら高いデザイン自由度を持ち、製作コストも比較的抑えられるため、購入特典の定番アイテムとして、目にする機会が多いでしょう。バッグやジャケットなど目につきやすい場所に付けられるため、ブランド露出効果が高く、コレクション性も相まって顧客の購買意欲を刺激しやすいアイテムです。複数種類の缶バッジをシリーズ化すると、コンプリート目的のリピート購入を促せます。
2. 実用的なエコバッグ
環境意識の高まりとともに、エコバッグの需要も増加しています。日常的に使用される機会が多く、ブランド露出効果が高いアイテムです。折りたたみ式のコンパクトタイプは携帯性に優れ、実用性の高さから顧客満足度も高いアイテムです。耐久性のあるデザインは長期間の使用が可能で、継続的な広告効果をもたらします。
3. オリジナルスマホアクセサリー
スマホケースやイヤホンケース、スマホリングなどのスマートフォン関連アクセサリーは、使用頻度の高さから、継続的なブランド露出が期待できます。特に若年層をターゲットとした特典として効果的で、デザイン次第では「見せたくなる」アイテムとしてSNS拡散も期待できます。
4. 文房具
メモ帳やボールペン、クリアファイルなどの文房具は、オフィスや学校などさまざまな場面で使用される実用性の高いアイテムです。幅広い年齢層に訴求でき、コストも比較的抑えられるため大量配布にも適しています。ブランドカラーや独自のデザインを施すことで、日常のなかで自然に目に触れる機会を創出できます。
5. シーズン限定グッズ
夏ならうちわやクールタオル、冬なら使い捨てカイロなど、季節に合わせたアイテムは時宜を得た特典として効果的です。季節感を演出することで購入意欲を高め、「今だけ」という希少性を訴求できます。
6. コラボレーション商品
人気キャラクターや他ブランドとのコラボレーション商品は、双方のファン層を取り込む効果があります。特に、限定コラボ商品は収集価値も高く、通常以上の訴求力を発揮します。異なる市場の顧客層にアプローチできるため、新規顧客獲得の手段としても有効です。
7. デジタルコンテンツ
壁紙やスマホの着信音、限定動画コンテンツなどのデジタル特典は、物流コストがかからず環境負荷も低い効率的な特典です。特に若年層向けのサービスには効果的で、即時提供が可能な点も魅力です。
購入特典の選定におけるポイント
購入特典を効果的に活用するためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
ターゲット層を明確にする
販売の場所や状況に合わせた特典選びが重要です。展示即売会や実店舗、ポップアップストアなど、販売の場の性質によって適切な購入特典は異なります。購入者の年齢層や職業、興味関心を事前に分析し、ターゲットに響く特典を選定しましょう。若年層にはデジタルコンテンツやトレンド感のあるアイテム、ビジネスパーソンには実用性の高い文房具など、ユーザー属性に合わせた選択が必要です。
持ち運びやすさや受け取りやすさを考慮する
特典の形態は、顧客満足度に直結します。物理的なグッズは軽量でコンパクトなものが喜ばれ、かさばるアイテムは逆に迷惑になる可能性もあります。値引き特典やクーポン、ポイントは使用条件を明確にし、複雑なルールは避けて簡単に利用できる仕組みを整えましょう。オンライン・オフライン両方で使える特典は利便性が高く、顧客満足度の向上につながりやすいでしょう。
期待する効果を意識する
購入特典を提供する際は、達成したい目的に最適な特典タイプを選ぶことが重要です。即時の売り上げ向上が目的の場合には、「今日限り20%オフ」といった直接的な値引きが効果的です。SNS拡散を狙う場合には、デザイン性や話題性の高い独自性のあるアイテムを選びましょう。
購入特典の提供における景品表示法上の注意点
日本では「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」により、過大な景品の提供が規制されています。一般消費者向けの取引では、取引価額に応じて景品の上限額が定められており、これを超える特典は提供できません。
金額に関わらず商品やサービスを利用した人や店舗に来店した人を対象に、もれなく景品を出す方式(総付景品)の場合は、取引価額が1,000円未満なら200円まで、取引価額が1,000円以上なら取引価額の10分の2までの条件があります。
規制に違反した場合には、措置命令や課徴金納付命令の対象となる可能性があります。不明な点がある場合は、事前に消費者庁または都道府県の景品表示法主管課に相談することをおすすめします。
参考:
景品規制の概要 | 消費者庁
事例でわかる景品表示法(令和6年7月改訂)[PDF]
景表法については、以下の記事でもくわしく解説しています。
>> 小ロットから注文可能なノベルティとは?メリットや景表法上の注意点を解説 <<
emoji_objects 購入特典の導入にはターゲットや目的の明確化が重要
購入特典は、短期的な売り上げ向上だけでなく、顧客満足度向上やブランド認知拡大など長期的な成果にもつながるマーケティング施策の側面を持ちます。特典を選ぶ際には、ターゲットとなる顧客の特性や、特典の使いやすさ、期待する効果を踏まえたうえで、適切なタイプを選択することが重要です。また、景品表示法の規制についても事前に十分に把握し、トラブルの防止に努める必要があります。
購入特典として人気の高い缶バッジは、顧客が扱いやすく、ブランド露出効果も期待できる効果的な選択肢のひとつです。バッジマンネットでは、小ロットの受注生産に適したマシンから、大量生産向けのマシンまでさまざまなマシンを取り揃えています。具体的な製作方法やマシンの選定については、バッジマンネットにてくわしくご紹介していますので、ご覧になったうえで、お気軽にお問い合わせください。