
日本製品は海外でも高い人気があり、その評価は現在でも変わりません。海外メーカーの台頭はあるものの、日本製品の品質の高さや機能性は依然として外国人から高く支持されています。かつては車や家電が中心でしたが、近年は雑貨や日用品などのグッズ類にも関心が集まり、日本でしか手に入らない商品を求めて来日する人も増えています。
そこで今回は、外国人にとっての日本製品の魅力、人気のグッズカテゴリー、そして外国人向けにグッズを制作する際のポイントについて解説します。
外国人の来日時消費動向
観光庁の「インバウンド消費動向調査結果及び分析 2024年 年次報告書」によると、2024年の訪日外国人(一般客)の旅行支出は1人あたり平均22.7万円と推計されており、そのうち「買い物代」は6.6万円で全体の約3割を占めています。これは、日本国内での買い物が訪日客にとって主要なアクティビティであることを示しています。
買い物の場所としては、コンビニエンスストアの利用率が特に高く、手軽に立ち寄れる点や品揃えの豊富さから多くの訪日客が利用しています。続いて、ドラッグストアや量販店、スーパーマーケットなども人気の買い物スポットとなっています。
参考:訪日外国人の消費動向 インバウンド消費動向調査結果及び分析 2024 年 年次報告書 -観光庁
また、土産品の購入品別の調査として、株式会社電通の「ジャパンブランド調査2025」では、外国人に人気のお土産として和菓子、チョコレート菓子、工芸品が上位を占めています。日本らしさや品質の高さが評価されている点が特徴です。
チョコレート菓子では、地域限定のキットカットや北海道の「白い恋人」が代表的で、日本でしか手に入らない特別感から高い人気を誇っています。
参考:電通、世界20の国・地域を対象に「ジャパンブランド調査2025」を実施 – News(ニュース) – 電通ウェブサイト
外国人が好きな日本のもの
外国人が好きな日本のものとしては次のようなものが挙げられます。
食品・菓子類
訪日外国人の購入率・満足度のいずれも高いのが、日本の食品カテゴリーです。手軽に持ち帰れ、日本の食文化を体験できることからお土産としても高く支持されています。
- 和菓子
季節を感じる繊細な味わいが人気 - チョコレート菓子
地域限定デザイン・フレーバーが人気 - インスタント食品
カップ麺やレトルトカレーは軽量で持ち帰りやすい - 調味料
醤油、味噌、だしパックなど日本の味を再現できる - 飲料
日本酒、抹茶、緑茶など日本独自の風味が楽しめる
伝統工芸品
「日本のもの」として根強い支持を集めているのが、日本の伝統工芸品や生活雑貨です。日本文化や美意識、職人の技術が凝縮された日本らしさを感じるアイテムとして認識されています。
- 和食器、陶磁器、お椀、箸
世界的な日本食ブームを背景に需要が高い - 和包丁
プロの料理人から料理愛好家まで、切れ味のよさとデザインの美しさが有名 - 扇子、風呂敷
軽量で持ち帰りやすく、価格帯も幅広い - 和紙製品
独特の風合いが魅力 - 伝統模様の小物
観光地や空港、雑貨店で気軽に購入できる
家電製品
日本の高品質な家電製品は、「信頼できる日本ブランド」として認知されており、買うために来日する外国人旅行客も少なくありません。
- 炊飯器
日本ならではの高機能モデルが人気 - 美容家電
ドライヤー、美顔器、電動歯ブラシなど
文房具
日本の文房具は海外製に比べ品質が高いのはもちろん、カラフルなものやデザイン性の高いものも多く、実用性の高いお土産としても喜ばれる製品です。海外製品に比べて品質が高く、カラフルでデザイン性に優れている点が評価されています。
- 高品質な基本文具
特に消しゴムは「よく消える」と大量購入する外国人も - デザイン性の高い製品
古典模様や家紋をあしらったペンケース、しおり、マスキングテープ - 遊び心のある文具
香り付きボールペン、食品サンプル風マグネットなど
文化体験・観光地グッズ
「その土地の思い出」を形にできるものとして外国人観光客から高い人気を集めています。
- 神社仏閣関連
御朱印帳、お守り、絵馬 - 伝統芸能グッズ
大相撲や歌舞伎の関連商品 - 地域限定グッズ
地方独自のデザイン雑貨、伝統模様の小物
ポップカルチャー商品
日本のアニメやマンガ、ゲームは海外でも高く、関連グッズは、訪日外国人の間で根強い人気があります。
- キャラクターグッズ
フィギュア・ぬいぐるみ 、アパレル、文房具、缶バッジ・キーホルダーなど日用品など - 「かわいい文化(Kawaii Culture)」雑貨
最近では、ガチャガチャ(カプセルトイ)も訪日外国人から高い人気を集めています。空港や専門店などで気軽に楽しめ、キャラクターや食品サンプルなどのミニチュアアイテムを手頃な価格で購入できる点が魅力です。観光中に何度も回す外国人客の姿も多く見られます。
海外でも人気のガチャガチャ。その理由と参入するのにおすすめの商品を解説
ポップカルチャー関連の消費は、モノの購入にとどまりません。アニメやマンガの舞台となった場所を訪れる「聖地巡礼(アニメツーリズム)」といった行動にも広がっています。
聖地巡礼、アニメツーリズムについては、下記の記事で詳しく解説しています。
聖地巡礼とは? ビジネスとして成功につなげるためのお役立ち情報を紹介
アニメツーリズムとは?成功事例や地域の観光振興につなげるポイントを解説
外国人が日本のものを好む理由
訪日外国人が日本の製品やグッズを選ぶ背景には、いくつかの共通した理由があります。
品質の高さ
日本製品は「壊れにくい」「精密」「丁寧」といった品質イメージが広く浸透しており、家電から文房具まで細部へのこだわりが徹底されています。こうした品質への姿勢が、長く信頼される理由のひとつです。
さらに、開けやすいパッケージや持ちやすい形状など、ユーザーに配慮した工夫も各所に見られます。「相手を思いやる心」が製品づくりに自然と反映されている点が、外国人にとって魅力となっています。
デザインの美しさ・独自性
日本独自の美意識は多くの製品に息づいています。シンプルで洗練されたデザインや、素材の質感を活かしたつくりは海外でも高く評価されています。
また、何百年と受け継がれてきた伝統技術を大切にしながら、現代のニーズに合わせて進化させている点も特徴です。古いものと新しい技術が調和した独特の世界観は、他国ではなかなか見られません。
ストーリー性
製品の背景には、職人の技や地域の歴史、さらにはアニメやポップカルチャーとのつながりなど、多様なストーリーがあります。単なる商品以上の価値を感じられ、日本文化を持ち帰るような特別な体験になることも少なくありません。
とくにアニメやマンガ関連のグッズは、作品の舞台となった日本で購入できることに意義を感じる人が多く、正規品や限定デザインを求めてショップを巡る姿もよく見られます。
外国人向けグッズ制作で押さえておきたい5つのポイント
訪日外国人向けのお土産やグッズをつくる際、特に意識しておきたいポイントについて解説します。
1.希少性・限定性の演出
外国人観光客にとって、「ここでしか買えない」「今しか手に入らない」という特別感は購買意欲を大きく高める要素です。地域限定デザインや季節限定商品など、その場所・時期ならではの魅力を明確に打ち出すことが重要です。
さらに、母国では手に入らない“日本ならでは”の価値を提供できれば、価格以上の満足感につながります。
2.携帯性の確保
商品が魅力的でも、大きすぎたり壊れやすかったりすると購入のハードルが上がってしまいます。「手荷物として無理なく持ち帰れるか」は非常に大切な基準です。軽量・コンパクトで、機内持ち込みのバッグに収まるサイズ感が理想といえます。
3.多言語対応によるわかりやすさ
言語の壁を越えて商品の魅力を伝える工夫も欠かせません。用途や使い方、素材、原産地、注意事項などは、訪日客の多い言語で説明を添えると理解がスムーズになります。
また、文字情報だけでなく、ピクトグラムやイラスト、QRコードによる多言語ページへの誘導など、視覚的なサポートも効果的です。
4.文化的背景・価値観の理解
国や地域によって文化的背景や価値観は異なります。そのため、食品の場合は原材料を明記して宗教的な食事規定にも配慮するなど、情報提供のあり方も重要です。
一方で、「Kawaii(かわいい)」文化や「Zen(禅)」の美学といった、日本文化として世界的に認知されている要素を積極的に活かすことも有効です。また、好まれるデザインや機能は地域ごとに異なり、欧米向けにはシンプルで環境配慮型、アジア圏向けには可愛らしさや高機能性が求められる傾向があります。ターゲットごとのニーズを把握することが欠かせません。
5.著作権の順守
キャラクターなどを使用する場合は、著作権の取り扱いに十分注意する必要があります。正式な許諾を得ずに商用利用すると、訴訟リスクや罰金、商品回収、企業の信頼失墜など、深刻な問題を引き起こす可能性があります。
グッズ制作では、必ず著作権者とライセンス契約を結び、契約内容に沿って適切に取り扱うことが大切です。
著作権について詳しくは「グッズ 製作で知っておくべき著作権の基本知識と対応策について」や「企業が版権キャラクターを起用する際に知っておくべきこととは?」をご覧ください。
emoji_objects インバウンド需要を捉えたグッズ制作で日本の魅力を届けよう
訪日外国人が日本で購入する製品には、文化や品質、デザインへの信頼など、さまざまな理由があります。食品や工芸品、家電、キャラクターグッズなど、多様なカテゴリで「日本らしさ」が評価されており、グッズ制作のヒントが数多く存在します。
特にインバウンド向けのお土産づくりでは、希少性や携帯性、多言語対応など、受け取る側の視点に立った工夫が重要です。デザインにひと工夫加えることで希少性や独自性を演出でき、携帯性を高めることで大量購入につながる可能性もあります。
なかでも缶バッジは、軽量で持ち運びやすく、手頃な価格で販売できる点が特長です。外国人の嗜好に合わせたデザイン展開もしやすく、インバウンド向けグッズとして幅広く活用できます。
缶バッジマシン、パーツの専門店であるバッジマンネットは豊富な在庫を持ち、素早い発送も可能です。その場で製作する場合でも迅速に対応可能な缶バッジキットも提供していますので、訪日外国人向けグッズビジネスへの参入を検討されている際は、ぜひお気軽にご相談ください。

