
缶バッジは、販促品からファングッズまで幅広く活用される定番アイテムです。近年では、「推し活」の広がりとともに需要の増加が期待されることから、多くの事業者にとって注力すべき商材のひとつとなっています。しかし、その一方で、缶バッジは、小さくて軽いため発送がしやすい一方、傷やへこみができやすいデリケートなアイテムでもあります。せっかく丁寧に作った商品も、配送中のトラブルで品質を損なってしまっては、元も子もありません。
本記事では、缶バッジの梱包・発送の方法や注意点についてわかりやすく解説します。
缶バッジ梱包の重要性について
缶バッジは種類によって多少の強度差はありますが、基本的にはデザイン面のシェル(上蓋)とピンやクリップが付いたバックパーツ(下蓋)という薄い金属パーツで構成されています。
構造がシンプルゆえに、配送中のちょっとした衝撃でもへこみや歪みが生じやすい特徴を持ちます。缶バッジの命とも言えるデザイン面に傷が入ったり剥がれたりすると、商品価値に大きく影響します。
さらに、金属製であるため、湿気があるとサビが出る可能性もあります。こうした点からも、配送中のダメージや保管時の劣化を防ぐ適切な梱包は、製品クオリティを守るうえでとても重要です。
缶バッジの素材やサビについては、以下の記事でくわしく解説しています。
>> 缶バッジの素材は何? オリジナル製作をするうえで押さえておくべき知識を解説 <<
>> 缶バッジがサビてしまう原因とは? 対策や管理方法のポイントを解説 <<
缶バッジの梱包に必要な資材
缶バッジの梱包に必要となる資材には以下のようなものがあります。
透明OPP袋
缶バッジそのものを保護する最初の層です。透明なため、中のデザインが確認でき、種類分けにも便利です。サイズは缶バッジの大きさに合わせて選び、個包装・複数包装と必要に応じて使い分けることができます。カードスリーブで代用することもできます。
緩衝材
発泡スチロール、エアキャップ(プチプチ)、発泡ポリエチレンシート、クッションペーパー、エアー緩衝材、紙パッキンなどがあります。エアキャップは、缶バッジの保護に特に適しており、二重に巻くとより安全です。発送する缶バッジの量と外箱の状態に応じて、使い分けると良いでしょう。
乾燥剤もしくは防錆剤
缶バッジのサビを防ぐための薬剤です。湿気を防ぐためには密封袋の中に入れることが大切ですが、保管の期間に応じて封入の要・不要を判断します。防湿効果は長く続かないため、長期保管・海外輸送の際には防錆剤の使用がおすすめです。防錆と乾燥両方の効果を持つ製品もあります。
補強用台紙
薄手の厚紙やダンボールを使用して、缶バッジの形状を保護します。複数の缶バッジを一緒に梱包する場合、互いに圧力がかからないよう間に挟むと効果的です。
台紙については、「缶バッジの魅力を引き出す台紙のメリットと包装の注意点」でくわしく解説しています。
クッション封筒・ダンボール箱
少量の場合は、クッション封筒が経済的で便利です。数量が多い場合や高価値の商品を扱う場合には、ダンボール箱に緩衝材と共に梱包するとより安全です。
梱包テープ
OPP袋や外箱の封緘に使用します。透明テープの他、「取扱注意」などの表示がされた専用テープを使うと、配送業者への注意喚起になります。
缶バッジの梱包方法
必要な資材が揃ったら、実際の梱包作業に入ります。ここでは、基本的な手順を説明します。
1. OPP袋に缶バッジを入れる
缶バッジの梱包作業は、まず各缶バッジをサイズに合った透明OPP袋に入れ、デザイン面の傷や湿気から保護することから始めます。
袋に入れる際はデザイン面を表側にし、内容物が一目で確認できるようにすると種類分けや管理がしやすくなります。デザインが精密な缶バッジには薄紙を間に挟み、袋の口はしっかりと閉じて、必要に応じて乾燥剤を同封するとサビ防止になります。
複数の缶バッジをまとめて包装する場合
複数の缶バッジをまとめて包装する場合は、缶バッジ同士が互いに傷つけ合わないようにする工夫が必要です。
- マカロン方式
2つの缶バッジをバックパーツ(ピンやクリップ部分)同士を向かい合わせに重ねます。デザイン面が外側を向き、互いの接触による傷を防止できます。
- 平入れ方式
複数の缶バッジを平らに並べ、間に薄紙や台紙を挟む方法です。大量の缶バッジを効率的に梱包する際に適しています。
2. 封筒・段ボール箱に入れる
箱に緩衝材を入れて缶バッジを置き、隙間に緩衝材を詰めて缶バッジが動かないよう固定します。その際、上下左右で缶バッジが直接外箱に触れないように注意し、箱を軽く振って内容物の動きがないことを確認してから封緘しましょう。
少数の缶バッジであれば、包装した缶バッジをエアキャップで包み、封筒に入れるだけでも十分な場合があります。
缶バッジの発送方法
現在は各配送業者がさまざまな料金プランを提供しています。ここでは日本郵便の場合を紹介します。(2025年5月現在)
日本郵便を利用した場合
定型郵便物
重さ50gまで 110円
定型外郵便物(規格内)
※長辺34cm以内、短辺25cm以内、厚さ3cm以内および重さ1kg以内
| 重さ | 料金 |
| 50g以内 | 140円 |
| 100g以内 | 180円 |
| 150g以内 | 270円 |
| 250g以内 | 320円 |
| 500g以内 | 510円 |
| 1kg以内 | 750円 |
定型外郵便物(規格外)
| 重さ | 料金 |
| 50g以内 | 260円 |
| 100g以内 | 290円 |
| 150g以内 | 390円 |
| 250g以内 | 450円 |
| 500g以内 | 660円 |
| 1kg以内 | 920円 |
| 2kg以内 | 1,350円 |
| 4kg以内 | 1,750円 |
レターパックライト
430円(A4サイズ / 重さ4kg以内 / 厚さ3cm以内)
レターパックプラス
600円(A4サイズ / 重さ4kg以内。追跡サービス付き)
クリックポスト
185円(長さ14~34cm / 幅9~25cm / 厚さ3cm以内 / 重さ1kg以内)
ゆうパケット
3辺合計60cm以内、重さ1kg以内
| 厚さ | 料金 |
| 1cm以内 | 250円 |
| 2cm以内 | 310円 |
| 3cm以内 | 360円 |
適切な配送方法の選び方
缶バッジの発送には、数量や重量、納期の緊急度、追跡の必要性などに応じて、最適な配送方法を選ぶことが重要です。
少量(1〜5個程度)の場合は、クッション封筒を使った定型外郵便が経済的かつ一般的な方法です。
6〜10個程度の発送では、サイズや厚みによっては定型外郵便でも対応可能ですが、レターパックライトやゆうパケットを選ぶと、追跡機能がある分、より安心です。
10個を超えるような中〜大ロットの場合は、レターパックプラスや宅配便など、重量・追跡・配達スピードのバランスを見ながら選定します。定期的に大量発送を行う事業者は、郵便局や配送業者と契約交渉を行うことで、法人割引を適用できる可能性もあります。
梱包時には、「缶バッジ在中」や「割れ物注意」などの記載を添えると安心です。また、天候や配送環境を考慮して、必要に応じて宛名ラベルを透明テープで保護すると、濡れや擦れを防ぐことができます。
缶バッジの梱包・発送における注意点
湿気対策の徹底
缶バッジは金属製のため、湿気によるサビの発生が商品価値を大きく損なう原因となります。特に、梅雨時や夏場は湿度が高く、輸送中に湿気がこもるリスクがあるため、梱包時に乾燥剤を同封するのが基本です。状況によっては、乾燥剤の量を増やすなどの工夫も有効です。
また、冬場は急激な温度変化によって結露が発生する可能性があります。これを防ぐため、緩衝材をやや厚めに入れる、あるいは断熱性のある素材を使うといった調整も効果的です。
品質維持の観点からは適切な在庫管理も必要です。くわしくは、「正しい在庫管理方法でロスを撲滅! 効率化と商品価値の維持について解説」で解説しています。
特殊デザイン缶バッジの保護
ホログラムやグリッターなどの特殊加工が施された缶バッジは、通常の缶バッジに比べて表面がデリケートで、傷やこすれのリスクが高くなります。これらの缶バッジには、個別に補強用の台紙を入れることで形崩れを防げます。さらに、静電気防止袋を使うと、ホコリや静電気によるダメージを抑え、デザイン面をきれいな状態で届けるのに役立ちます。
他の缶バッジとまとめて梱包する場合は、特殊加工缶バッジを中央に配置し、外側に通常品を重ねることで、輸送中の衝撃をやわらげる工夫も効果的です。
検品の徹底
発送前の最終確認として検品は、誤発送や商品トラブルを防ぐための重要なステップです。内容物と注文内容の照合、梱包状態の確認、外装の表記(割れ物注意)の確認といった項目をチェックリスト化し、確認しましょう。
複数種類の缶バッジを扱う場合は、個数・種類のダブルチェック体制を設けるといいでしょう。出荷精度と顧客満足度の向上につながります。
検品については、「検品とは?重要性、よくある課題とその解決方法までをわかりやすく解説 」でくわしく解説しています。
emoji_objects 缶バッジビジネスでは梱包・発送にもこだわろう
缶バッジの梱包・発送は、商品価値を損なわず、安全に届けるための大切な工程です。梱包が不十分だと、傷やへこみ、サビの原因となり、せっかくの商品が台無しになることもあります。
顧客満足やリピート購入につなげるためにも、商品の特性や数量、配送方法に応じた適切な梱包・発送を心がけましょう。
缶バッジ専門サイト「バッジマンネット」では、製作方法やマシン導入に関する情報を多数ご紹介しています。導入や運用のご相談も、お気軽にお問い合わせください。