缶バッジの製造・販売において、サビ(錆)対策は品質管理上欠かせない重要なポイントです。缶バッジの素材であるブリキは、適切な環境で保管・管理を行わなければ、短期間でサビが発生し、品質劣化による損失やクレームの発生につながります。

本記事では、缶バッジのサビの主な要因とその対策方法についてくわしく解説します。缶バッジの製造・在庫管理に関わる方は、ぜひ日々の管理業務にお役立てください。


缶バッジのサビとは

缶バッジのサビは、主に素材であるブリキの表面に生じる赤褐色の腐食です。主にメッキが傷ついた部分から空気中の水分や酸素が入り込み、内部の鉄が酸化することで発生しますが、さまざまな条件が重なることで、進行が早まります。

サビは小さな点から始まり、放置すると徐々に広がっていきます。一度発生すると完全に除去するのは難しく、商品の見た目や価値を大きく損なう原因になります。

商品として販売する缶バッジにおいては、品質管理上の大きなリスクとなるため、日頃からの予防対策が不可欠です。

缶バッジの素材については、「缶バッジの素材は何? オリジナル製作をするうえで押さえておくべき知識を解説」でくわしく解説しています。


缶バッジがサビてしまう原因

缶バッジのサビ発生には、以下のような原因や状況が関係しています。

メッキ加工のはがれによる鉄の露出

缶バッジの表面のメッキ加工が物理的な衝撃や摩擦によってはがれると、内部の鉄が露出してしまいます。露出した鉄は、水や酸素と反応して酸化し、サビが発生する原因となります。

湿度の高い環境での保管

湿度が65%を超える環境では、金属の腐食が急激に進行します。この65%を「臨界湿度」と呼びます。特に梅雨時期や海に近い場所など湿度の高い環境で缶バッジを保管すると、空気中の水分が缶バッジの表面に付着しサビの原因となります。

温度変化による結露の発生

急激な温度変化は、缶バッジ表面に結露を生じさせ、サビの原因となります。冷たい場所から暖かい場所へ缶バッジを移動させた際や、冷蔵保存後に常温に戻した際に特に注意が必要です。結露した水滴が缶バッジ表面に残ると、メッキの微細な傷から内部の鉄まで水分が侵入し、サビを促進します。

素手での取り扱いによる油分・汗の付着

人の手には、汗や皮脂などの油分が含まれています。これらが缶バッジに付着すると、サビの原因となります。特に手の汗に含まれる塩分は、金属を腐食させる作用があり、素手で缶バッジを頻繁に触ると目に見えないダメージが蓄積します。

輸送時の環境変化と物理的ダメージ

缶バッジの輸送中は温度や湿度の変化に加え、振動や衝撃によるメッキの損傷リスクが高まります。特に、長距離輸送や季節の変わり目、適切な梱包が施されていない場合は注意が必要です。一度の輸送で受けたダメージは、すぐにサビとして現れなくても、時間の経過とともに顕在化することがあります。


缶バッジのサビの取り方

缶バッジのサビについて、顧客から除去方法の問い合わせを受けることもあるでしょう。完全に元の状態に戻すことは非常に困難ですが、以下のような対処方法があることをお伝えできると安心です。

軽度のサビ:木工用ボンドを使う

軽度のサビには、木工用ボンドを活用する方法があります。サビ部分にボンドを薄く塗り、完全に乾燥させた後、ゆっくりと剥がすことで、ボンドと一緒にサビが取り除けます。これは表面に浮いたサビを物理的に除去する手軽な方法です。

軽度から中度のサビ:サビ取り剤を使用する

市販の金属用サビ取り剤を柔らかい布に少量取り、サビ部分を優しく磨く方法もあります。ただし、研磨剤を含むものが多いため、缶バッジの印刷部分には使用しないよう注意を促すといいでしょう。

重度のサビへの対応

サビが広範囲に広がり、深く進行している場合は、完全な復元は困難であることを顧客にお伝えするといいでしょう。あわせて、再発防止のため、湿気の多い場所での保管を避けることや防湿袋での保管方法などを具体的に案内しましょう。


缶バッジのサビを防ぐ方法

缶バッジを商品として大量に扱う場合、一つひとつサビ取り作業を行うのは現実的ではありません。そのため、「サビを発生させない予防」が重要かつ効率的な方法となります。ここでは、缶バッジのサビを発生させない、サビを防止するための対策を解説します。

温度・湿度管理の徹底された倉庫で保管する

缶バッジを保管する倉庫では、臨界湿度である65%を超えない湿度に保つことが重要です。また、急激な温度変化は結露の原因となるため、一定の温度を維持できる環境で保管しましょう。デシカント(乾燥剤)の使用や除湿機の設置など、状況に応じた湿度管理対策を講じることが効果的です。コストはかかりますが、保管を外部委託する方法も選択肢のひとつとなります。

防錆紙・防錆剤を利用する

防錆紙や防錆剤の使用は、長期保管や湿度管理が難しい環境では効果的な対策です。専用資材を使用することで、缶バッジへの直接的な防錆効果が期待できます。

防錆紙は缶バッジを包む形で使用し、紙から発生する防錆成分が金属表面を保護します。コストはかかりますが、大量のサビ被害と比較すれば経済的な選択となるでしょう。

缶バッジの専門店「バッジマンネット」で扱う「CORTEC VpCI-146 防錆紙」は、高い防錆能力を持ちながらも、人体や環境に優しいため、安心してご利用いただけます。

定期的な商品点検を実施する

定期的に結露は起きていないか、缶バッジに傷がついてメッキがはがれていないかなどの点検を実施します。点検時は必ず清潔な手袋を着用し、素手で触れることで手の汗や油分が付着するのを防ぎましょう。特に、長期保管している商品や、季節の変わり目には重点的に点検することをお勧めします。

商品価値の維持に直結する在庫管理については、「正しい在庫管理方法でロスを撲滅! 効率化と商品価値の維持について解説」でくわしく解説しています。

輸送時の管理を徹底する

輸送中は温度・湿度の変化や振動による物理的ダメージのリスクが高まります。缶バッジ同士が直接接触しないよう、適切な緩衝材を使用し、防湿性のある包装材で梱包することが重要です。あわせて、輸送業者に「取扱注意」や「直射日光を避ける」などの注意点をきちんと伝えることも大切です。

梱包方法については、「【缶バッジの梱包】必要な資材や手順、発送方法、ビジネスにおける注意点も」でくわしく解説しています。

自社保管せず都度調達する

缶バッジの素材を自社で保管したり、外部倉庫に委託したりする方法は、一見効率的に思えるものの、コストや手間がかかります。さらに、温湿度管理が万全でなければサビのリスクを完全には排除できません。そこで有効なのが、「必要なときに必要な分だけを仕入れる」都度調達の方法です。この方法を成功させるためには、安定した供給体制と品質管理を備えた信頼性の高い仕入れ先を選ぶことが不可欠です。

例えば、缶バッジパーツの専門店「バッジマンネット」では、常時30万~100万個の在庫を確保し、迅速な発送にも対応しています。こうした体制を持つ業者と連携することで、自社での長期保管を避けつつ、サビの発生リスクを大幅に抑えることが可能になります。


emoji_objects 缶バッジのサビ対策にバッジマンネットという選択を

缶バッジの素材であるブリキは、耐久性や耐水性に優れている一方で、保管環境によってはサビが発生してしまうリスクがあります。一度サビてしまうと元の状態に戻すのは非常に困難なため、サビを防ぐ「予防策」が何より重要です。

しかし、温湿度管理や定期点検を自社で徹底するには手間もコストもかかります。そこで有効なのが、「必要なときに必要な分だけを調達する」という運用方法です。

缶バッジパーツの専門店「バッジマンネット」では、常時30万~100万個の豊富な在庫と、温湿度管理された専用倉庫による高品質な保管体制を完備しています。ご注文に応じて迅速に出荷できるため、自社での保管リスクや在庫管理の負担を大幅に軽減できます。

サビ対策と効率的な運用を両立させたい企業様は、ぜひバッジマンネットの活用をご検討ください。