就労継続支援B型事業所の運営において、利用者に提供する「生産活動(作業)」の選び方は、工賃水準だけでなく事業所全体の経営にも大きく影響します。受注の安定性や利用者の特性とのマッチング、収益性のバランスをどう取るかは、多くの運営者が悩むポイントではないでしょうか。

本記事では、就労継続支援B型事業所で実際に取り組まれている代表的な作業内容を9つ紹介しながら、それぞれの特徴や注意点を解説します。作業内容の見直しや新たな作業を検討している方、工賃向上や安定経営のヒントを探している方は、ぜひ参考にしてください。


就労継続支援B型の作業内容が経営に与える影響

就労継続支援B型事業所の収益基盤は、国から支払われる給付費です。この給付費には、利用者に支払われる平均工賃月額に応じて単価が変わる仕組みがあり、平均工賃月額は報酬区分を決める重要な要素のひとつです。

利用者に支払われる工賃は、生産活動によって得られた収益をもとに支払われます。作業内容の質を高めて利用者の工賃向上につなげることは、給付費の単価アップを通じて事業所の経営にも直結します。


就労継続支援B型の作業内容9選

ここでは、多くのB型事業所で実際に取り組まれている代表的な作業を9つ紹介します。

1. 軽作業(梱包・封入・ラベル貼りなど)

封入やラベル貼り、袋詰めといった軽作業は、工程がシンプルで習得しやすく、初めて作業に取り組む利用者でも参加しやすいのが特徴です。受注しやすく作業量の調整も柔軟なため、多くのB型事業所で中心的な作業に位置づけられています。一方で、単価は低めになりやすいため、工賃向上を目指すには、受注量の確保や他の作業との組み合わせが重要になります。

2. 印刷物の折り込み・仕分け

パンフレットの折り込みやアンケート・資料の仕分けは、自治体や教育機関、イベント主催者からの依頼も多く、地域との接点を作りやすい作業です。納期が明確に設定されることが多いため、利用者の作業ペースに合わせた納期管理の体制を整えておくことが求められます。

3. 古本や中古雑貨のクリーニング

古本や中古雑貨の清掃・メンテナンス作業は、丁寧さが求められる分、利用者の集中力や達成感を引き出しやすい作業です。リユース関連事業者やネットショップ運営企業と連携することで、継続的な受注につなげやすくなります。

4. 缶バッジ・キーホルダーなどのグッズ製作

缶バッジやキーホルダー、アクリルグッズなどのグッズ製作は、完成品が形として残るため、利用者のやりがいにつながりやすい作業です。製作工程に加え、封入・袋詰め・発送といった周辺業務まで含めて受託できるため、利用者の特性に応じて担当工程を分けやすい点も特徴です。自主製品として販売する場合は、デザイン性や品質を高めることで、軽作業より高い工賃につながる可能性があります。

なお、製作に使用するマシンの種類によっては作業負担や安全性が変わるため、導入前に選び方を確認しておくことをおすすめします。缶バッジマシンについては、「缶バッジマシンの種類・選び方・ケース別おすすめ|専門店がプロ視点で解説」で詳しく解説しています。

5. データ入力・デザインなどのパソコン作業

データ入力やECサイトの商品登録、簡単なデザイン制作などのパソコン作業は、ITスキルを持つ利用者の強みを生かしやすい作業です。比較的高単価な業務を確保できる可能性がある一方、対応できる利用者が限られる場合もあるため、職員側のスキルやサポート体制も含めて検討する必要があります。

6. 縫製・手工芸品の製作

エコバッグやマスク、雑貨などの縫製・手工芸品の製作は、利用者の手先の器用さや集中力を生かしやすい作業です。完成品をそのまま自主製品として販売できるため、デザインや品質にこだわることで、軽作業より高い工賃を目指せます。一方で、ミシンなどの設備や材料の調達コストがかかるほか、販路の確保まで含めて運営側で計画する必要があります。

7. 食品(パン・お菓子・弁当など)製造

パンや焼き菓子の製造、弁当・惣菜の盛り付けなどは、利用者が商品づくりの工程に関われるため、達成感やモチベーションにつながりやすい作業です。販売先を独自に開拓できれば、軽作業より高い工賃を得られるでしょう。一方で、食品の取り扱いには、衛生管理や賞味期限管理など運営側が整備すべき体制も増えます。設備投資や資格(食品衛生責任者など)が必要になる点も、導入時に検討すべきポイントです。

8. 農作業

野菜や花などの栽培・収穫作業は、屋外で身体を動かす活動を通じて、生活リズムの安定や体力づくりにつながりやすい作業です。収穫物を直売所やマルシェ、ECサイトなどで販売することで、自主製品としての収益化も見込めます。一方で、天候や季節によって作業量が大きく変動するため、収入が安定しない時期が生じやすい点には注意が必要です。農作業単独での運営はリスクが高く、他の作業と組み合わせることで安定性を補うのが現実的です。

9. 清掃作業

オフィスや公共施設、店舗などの清掃業務は、地域の企業や自治体から継続的に受注しやすい作業のひとつです。決まった手順を反復する形が多く、利用者にとって取り組みやすい一方、現場への移動や時間管理が必要になるため、利用者の体力や通所スケジュールとの調整が求められます。複数の現場を確保できれば、受注の安定性を高めやすい作業でもあります。


就労継続支援B型の経営を安定させるポイント

就労継続支援B型の作業内容を通じた工賃向上、さらには経営安定につなげるポイントを紹介します。

特定の作業だけに依存しない

紹介した9つの作業は、単価の高さ、必要なスキル、受注経路のいずれにおいても特徴が異なります。複数のタイプを組み合わせておくことで、特定の取引先や季節要因による受注減少のリスクを抑えやすくなります。また、作業の種類が増えることで、集中力を要する作業が得意な利用者、屋外作業が向いている利用者など、1人ひとりの特性に応じた割り振りもしやすく、定着率の改善が期待できます。

高単価な作業に計画的に取り組む

軽作業を基盤としつつ、グッズ製作や食品製造など単価の高い作業を段階的に加えていくことで、工賃向上の余地を広げられます。導入する際は、まず「月平均工賃をいくら上げたいか」という目標を設定したうえで、小ロットや試験的な受注から始めると、設備投資や利用者の負担を抑えながらノウハウを積み上げやすくなります。

自事業所の強みや実績を発信する

ホームページやSNS、パンフレットで継続的に情報発信しておくことは、新たな受注先や見学希望者との接点づくりに直結します。企業が外注先を探す際にまずWebで情報を確認するケースは多く、対応可能な作業や過去の実績を明示しておくだけで問い合わせにつながることもあります。こうした発信を積み重ねることで、利用者やその家族からの信頼獲得も期待できるでしょう。

具体的な受注先の探し方や営業のコツについては、「【就労継続支援B型】仕事の取り方|受注先の見つけ方・営業のコツを解説」で詳しく解説しています。


emoji_objects 就労継続支援B型の安定経営には作業選びが重要

就労継続支援B型事業所が提供する作業内容は、利用者の工賃だけでなく、給付費の報酬区分や事業所全体の経営安定にも関わる重要な要素です。今回紹介した9つの作業は、それぞれ単価や必要な設備、受注経路が異なるため、自事業所の強みや利用者の特性に合わせて組み合わせることがポイントになります。
紹介したグッズ制作のなかでも、缶バッジ制作は工程がシンプルで、利用者のやりがいにもつながりやすい作業のひとつです。「バッジマンネット」では、安全性が高く扱いやすいマシンやパーツを豊富に取り揃えており、初めて導入する事業所でも無理なく始められます。まずは、お気軽にお問い合わせください。


よくある質問(FAQ)

Q. 就労継続支援B型の作業内容にはどのような種類がありますか?

軽作業(梱包・封入・ラベル貼り)、缶バッジ・キーホルダーなどのグッズ製作、データ入力・パソコン作業、縫製・手工芸品の製作、食品製造、農作業、清掃作業など、さまざまな種類があります。それぞれ単価や必要な設備・スキルが異なるため、利用者の特性や事業所の強みに合わせて組み合わせることが重要です。

Q. 工賃を上げるためにはどの作業が向いていますか?

グッズ製作(缶バッジ・キーホルダーなど)、食品製造(パン・焼き菓子など)、縫製・手工芸品の製作などは、単価が高くなりやすく工賃向上につながりやすい作業です。軽作業を基盤としながら、高単価な作業を段階的に加えていくとよいでしょう。利用者の負担や設備投資リスクを抑えながら、工賃を少しずつ高めていくことができます。

Q. 就労継続支援B型の仕事はどうやって取ればよいですか?

就労継続支援B型の仕事の取り方には、いくつかの方法があります。地域の企業や自治体に直接営業をかける方法のほか、商工会議所や福祉関係の団体を通じたつながりを活用する方法も有効です。また、ホームページやSNSで対応可能な作業内容・実績を発信しておくことで、外注先を探している企業からの問い合わせにつながることもあります。既存の取引先からの紹介や口コミも重要な受注経路のひとつです。