
プリントオンデマンドは、もともとは書籍の受注印刷を指す言葉ですが、近年ではさまざまなオリジナルグッズを在庫ゼロで作り、販売できる仕組みとして注目されています。自分の作品を商品化したいと考えるクリエイターやイラストレーターにとって、在庫リスクがないことは大きな魅力でしょう。本記事では、プリントオンデマンドの基礎知識、取り組むメリット、始め方、失敗しないためのポイントまでを詳しく解説します。
プリントオンデマンドとは
プリントオンデマンド(Print On Demand、POD)は、注文が入ったタイミングで商品を制作・発送する仕組みのことです。もともとは出版業界で使われていた用語ですが、近年はデジタル印刷技術の発達により、アパレルや雑貨など幅広い種類のグッズの販売で活用されるようになりました。
プリントオンデマンドの特徴
プリントオンデマンドには、従来のグッズ制作・販売とは大きく異なる特徴があります。注文を受けてから1つひとつ制作する受注生産方式で、事前に大量の在庫を用意する必要がありません。
受注生産については、「受注生産とは?メリット・デメリットや注意点、グッズ制作に役立つ情報も」で詳しく解説しています。
プリントオンデマンドに対応するプラットフォーム
プリントオンデマンドをより身近にしているのが、専用のプラットフォームの存在です。
デザインデータをアップロードするだけで、専門プラットフォームが注文管理から製作、発送、支払いまで代行してくれるため、クリエイターはデザイン制作に専念することができます。SUZURIやBOOTHなどが代表的なサービスです。
参考:
つくるは自由だ。SUZURIでグッズ販売をはじめよう
BOOTHで自分の作品を売ってみよう – BOOTH
こうした手軽な環境が整っていることから、初めてグッズ販売に挑戦するクリエイターやイラストレーターにとっても、プリントオンデマンドは気軽に始められる販売方法といえるでしょう。
イラストを販売する方法については、「イラストを販売する方法とは?おすすめサイトやコツ、注意点も」、「イラストで稼ぐ方法5選!初心者が始める際に必要な準備や注意点も解説」で詳しく解説しています。
プリントオンデマンドのメリット
クリエイター・イラストレーターがプリントオンデマンドに取り組むメリットは以下の通りです。
在庫リスクの軽減
プリントオンデマンドは、注文が入った分だけ商品を作るため、在庫を抱える必要がないというメリットがあります。初期費用や保管コストを抑えられるだけでなく、余剰在庫による損失リスクを避けられます。
多様化する顧客ニーズへの対応
個人の好みが多様化する現代では、従来の大量生産による画一的な商品では満足できない消費者が増えています。プリントオンデマンドなら1点から制作可能なため、特定のファン層向けの限定デザインやパーソナライズされた商品など、ニッチなニーズにも柔軟に対応できます。また、販売データを分析しながら商品ラインナップを調整し、市場の変化に素早く適応できることも大きな強みといえるでしょう。
多品種少量生産については、「多品種少量生産とは?缶バッジ製作現場でも直面する課題や解決策を解説」で詳しく解説しています。
プリントオンデマンドで制作されるオリジナルグッズ
プリントオンデマンドでは、多種多様なオリジナルアイテムを制作・販売できます。ここでは、主要な商品カテゴリーと、それぞれの特徴や販売のポイントを詳しく解説します。
アパレル商品
Tシャツやパーカーなどのアパレル商品は、オリジナルデザインを大きく表現できる定番のジャンルです。
サイズや色のバリエーションも豊富に用意されています。季節やトレンドに合わせてラインナップを充実させることで、幅広いファン層にアプローチできます。
【主なアイテム例】
- Tシャツ
- スウェット
- パーカー
- エコバッグ
雑貨・文房具
手頃な価格設定ができるため、初購入のハードルが高くないジャンルです。日常使いしやすく、複数まとめて購入してもらえる点も魅力です。
【主なアイテム例】
- 缶バッジ
- アクリルスタンド
- ステッカー
- クリアケース
- キーホルダー
デジタル関連グッズ
スマホケース、タブレットケースなどのデジタルグッズは、実用性が高く日常的に使用されるため、作品の露出アップにも役立ちます。価格帯もやや高めに設定でき、利益率の確保がしやすいカテゴリーです。
【主なアイテム例】
- スマホケース
- ラップトップスリーブ
- タブレットケース
日用品
日用品は、贈り物や生活の中で使うシーンが多いため幅広い層に受け入れられます。オリジナルデザインを通じて、日常に作品を取り入れてもらいやすいジャンルです。
【主なアイテム例】
- マグカップ
- クッション
- タオル
- コースター
プリントオンデマンドを始める手順
クリエイター・イラストレーターがプリントオンデマンドを始める手順を解説します。ここでは、プリントオンデマンドの専門プラットフォームの活用した方法を紹介します。
1. デザインデータを準備する
オリジナルグッズに使用するデザインを制作し、デジタルデータとして準備します。各プラットフォームが指定する解像度やカラーモード、ファイル形式に合わせてデータを調整することが重要です。事前に利用予定のサービスのガイドラインを確認し、適切な仕様でデザインを仕上げましょう。
2. 商品やプラットフォームを選ぶ
プリントオンデマンドサービスを比較し、自分の作品に適したプラットフォーム(例:SUZURI、BOOTHなど)を選択します。サービスによって、取扱商品の種類、印刷品質、手数料などが異なるため、比較検討することが大切です。
3. ショップ・販売ページを立ち上げる
選択したプラットフォームでアカウントを作成し、デザインをアップロードして商品を登録します。商品タイトルや説明文には検索されやすいキーワードを含め、購入者の関心を引く内容に仕上げることが重要です。
まずはプラットフォーム内での販売から始めて、慣れてきたらBASEやShopifyなどと連携して独自ショップを開設することも可能です。
プリントオンデマンドビジネスで失敗しないためのポイント
プリントオンデマンドビジネスを成功させるためには、注意すべきポイントがあります。
利益率を確保する価格設定
プリントオンデマンドでは製造コストが割高になりがちです。そのため、適切な価格設定を行わないと利益が出ない場合があります。商品の原価、プラットフォーム手数料、送料に加え、広告費や時間コストまで含めて総合的に計算し、一定の利益率を確保できる価格設定を心がけましょう。競合商品の価格も参考にしながら、顧客が納得できる価格帯を見極めることが重要です。
商品サンプルの確認
プリントオンデマンドでは印刷や製品の品質をプラットフォームに依存するため、事前の品質確認が欠かせません。本格販売を始める前に必ずサンプルを注文し、色の再現性や印刷位置、素材の質感などを実物で確認しましょう。品質に問題がある場合は、別のサービスへの変更や印刷設定の調整を検討する必要があります。
プロモーションによる集客
商品をプラットフォームに登録しただけでは売上は期待できません。InstagramやX(旧Twitter)でのSNS発信、作品制作過程の共有、ファンとのコミュニケーションなど、能動的な集客活動は欠かせません。特にビジネス開始当初は、プラットフォームを「商品の置き場所」と割り切り、集客は自分で行うという意識が重要です。
emoji_objects プリントオンデマンドをオリジナルグッズ販売の第一歩に
プリントオンデマンドは、注文に応じて商品を制作する方式です。近年では、制作から発送までを代行してもらえるプラットフォームがあるため、クリエイターやイラストレーターが在庫を持たずに手軽にグッズ販売を始められるようになりました。
ただし、制作を専門プラットフォームに外注するため、利益率や品質の管理においては注意が必要です。まずはプラットフォームを活用して小規模から始めて、ビジネスが安定した段階で独自の制作体制を検討することも選択肢のひとつでしょう。
バッジマンネットでは、自社生産が可能なマシン・パーツを各種取り揃えています。プリントオンデマンドのような柔軟性を求める場合は、データ入稿だけで全自動製造できる「カンバッジメイカー」がおすすめです。サービス手数料がかからず品質も自分で管理できるため、より高い収益性と安定した品質を実現できます。目的や用途に応じてさまざまなマシンやパーツを取り揃えていますので、詳しくご覧になったうえで、お気軽にお問い合わせください。
